「現代のユトリロ」とも呼ばれていたクートラスですが、所属の画廊から求められる画風を断ってからは、ひたすらカルト(carte)という手札大のカード 画の制作に没頭しはじめます。靴箱や広告など、身近にある厚めのボール紙に油絵の具で下地を作っただけの画布。お尻を突き出した子供、人の顔をした昆虫や 鳥、画面上を覆う植物、読み取れない文字。毎夜、様々な題材で描き続けられたカルト群は、「僕の夜”Mes Nuits”」と名づけられました。
銀座のギャラリー無境に最終日に駆けつけて初めてカルトを観たときの衝撃、松濤美術館展の日に二人でキャリーに本を積んで坂を上ったこと、後年パリで「Mes Nuits」と題された展覧会に出会ったこと——木林文庫の蔵書ページで館長と副館長が語っている。